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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

読書を通してことばの豊かさを・・・

 NHKの朝の連続ドラマで、翻訳家の村岡花子さんの生涯を描いた「花子とアン」が好評のようです。

 村岡花子は『赤毛のアン』などの翻訳者として有名ですが、歌人の柳原白蓮との交流を通じて短歌も詠んでいたということは、一般には余り知られていません。


 ところで、実は私は『赤毛のアン』を余り憶えていないのです。小中学生の頃、両親が買ってくれた『世界少年少女文学全集(全50巻)』を、むさぼるように読んでいましたが、その中で今でも一番心に残っているのは『少公子』という作品です。人嫌いで頑固者の伯爵に孫のフォントルロイがはじめて対面する場面の描写がとりわけ好きでした。七歳の少年が、いかつい老人を前にして臆することなく対する場面は、私の背を伸ばさせ、自分もそうありたいと思ったものでした。

 五十数年ぶりに『少公子』を手にしてみると、訳は、野上彰と川端康成の共訳になっていました。翻訳が川端康成であったことは全く知らなかったのですが、私の心の中にすっと入ってきたあの文章は、そうだったのかと今更ながら遠い日の感動を思いおこしたことでした。


 今の子どもたちは、どんな本を読むのでしょうか。お母さんたちは、幼い子どもたちに読みきかせをして下さっているでしょうか。

 ことばからイメージを広げていくことが苦手な子どもたちが増えているように感じることが多くなりましたが、動画が子どもたちの心にどのような影響を与えているのか想像もつきません。子どもたちが想像の世界を広げ、心豊かに育ってほしいと心から願っている私です。ことばのもつ豊かさ、大切にしたいですね。


2014.8.12 発行



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