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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

鯉のぼり

 皆さんは、連休をどの様に過ごされましたか。私は、来客と一緒にお祭り見物に出かけました。祭りには、それぞれ歴史的な意味があって、一場面だけでなく一日を通して見ることで、はじめて知ることも多くあります。当日は、どこからこんなに人が集まってくるのかと思う程のにぎわいでしたが翌日には人影もまばらになり、相川に泳いでいた多くの鯉のぼりも、いつの間にか片づけられ、木々の緑が日増しに色濃くなってきています。

 鯉のぼりの季節になると、私は「鯉のぼり」の歌を思い出します。皆さんがご存知なのは、「屋根より高い こいのぼり……」でしょう。私が思い出すのは、「いらかの波と雲の波 重なる波の中空を橘かおる朝風に高く泳ぐよ 鯉のぼり」という大正二年に作られた文部省唱歌です。「いらかって何?」「中空ってどういうこと?」と、子どもたちに、まず歌詞の意味を聞かれることでしょう。「いらか」なんて知りませんよね、今の子は。

 実は、先日、テレビを観ていたら、若い女性アナウンサーが枕木を知らず「この木は何ですか?」と聞いていましたが、消えていくことばや使われなくなることばは、今後ますます増えていくことでしょう。

 もっとも逆に私などはカタカナのことばが頭に入ってきません。パソコンの「アカウント」や「エクスプローラー」に苦労しましたし、心理学用語でも悩むことばかりです。

 ことばは、時代と共に変わっていきます。あと20年もしたら文語文は消えてしまうのかもしれません。日本語のもつ微妙な心の機微を表すことばも、方言といわれるものも次第に姿を消していくのでしょう。

 先日、ある保健師さんから、「先生、スマホに鬼が出てきて子どもを叱るというのをご存知ですか?」と、たずねられました。実際に見たことはありませんが、もちろん聞き知っています。ママが叱るより手っ取り早く、子どもを怖がらせていたずらを止めさせられると、ママたちには大人気だとか……。しかし、スマホ画面で育てられた子どもたちは、愛着関係も希薄でしょう。そして今後ますます耳からの聴覚情報よりも視覚情報に頼る子どもたちが増えてくれば、教育の場もどんどん変わっていくのでしょう。

 そんな将来の日本の姿をこの目で見てみたい気もします。

 故ホーキング博士が予言したような世界にならないように願いつつ、子どもの日には子どもたちの未来の倖せを心から祈りました。


2018.5.14 発行



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