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□ひまわりからのメッセージ

朝の散歩道で

 主人が体をこわしてから、朝夕の犬の散歩は私の日課になりました。朝、五時半に家を出ます。朝の陽が射しはじめ見上げれば澄みきった青空、ほほを撫でる風、樹々の息吹が体全体を包み、遠近に啼く鳥の声も心に安らぎを与えてくれます。

 それなのに今朝は、砂漠の砂のにおいが、たまらなく恋しくなりました。私の遠い祖先は砂漠に暮らす民であったのではないかと思うのですが、かつてゴビ砂漠やサハラ砂漠を旅した時の何とも言えない安堵感が、なつかしく思い出されたのです。そして同時にシリアの人々のことを思いました。もう、決して見ることは叶わないパルミラの遺跡のことを思いました。ISへの爆撃は、テロリストだけではなく、多くの人々の命を奪っていくのに、私たちは、無関心になりつつあります。テレビが映し出す現実は、まるでフィクションの世界のようにしか感じられなくなっていくように思います。今、私がこうして生きている現実の世界と、余りにもかけ離れたところで、死と日々対き合って暮らす人々のことを思ったのです。

 頭の中でそんなことを考えながら歩く私の傍らで、わが犬は時折立ち止まりながらも私の歩に合わせてくれています。近くの神社では、私の参拝に合わせてしばらく静止して待つのです。野良犬の仔として生まれ、十五歳になろうとしているこの子は、きっと、何かを感じ取っているのでしょう。

 それにしても、この私に何かできることはないのでしょうか。飢えや貧困にあえぐ子ども達は世界に大勢いるのです。シリアの子どもたち、アフリカの子どもたち……日本の子どもの貧困のことも真剣に考える時期に来ています。私の脳裏に浮かんだのは、昨日届いた国境なき医師団の活動報告の中に入っていたアフリカの子どもの写真でした。そうなのです。

 一小市民として、大したことはできないけれども、できることはありますよね?

 散歩から帰って、夫に話したら、「僕はそんなこと考えて散歩したことないよ。」と言っていました……。本当でしょうか。
2017.6.5 発行

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