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□ひまわりからのメッセージ

冬の薔薇

 暦の上では立冬が過ぎ、庭先の虫の音はいつか聞かれなくなり、枯れ草が茂って本当に寂しくなりました。

 そんな中で、赤い薔薇が大輪の二花を咲かせました。そのバラは、幼い頃に飼っていたうさぎたちが死んで、亡骸を埋めた場所に植えたもので、私はいつも「うさぎのバラ」と呼んでいました。

 その日、隣家のご主人が入院先の病院から帰宅されていると聞き、赤いバラの二輪をもってお顔を見に行きました。隣家ではご夫婦で入院されていて、ご主人だけが一時帰宅されたと思っていたのですが、夕方、庭にいた主人が「おとなりの奥さんが亡くなられたようだよ。」と大声で呼ぶのです。あわてて門まで出ると、ちょうど奥様の棺が車に乗せられていくところでした。「内輪で家族葬で送って…。」という本人のご遺志とのことでしたので、せめてお花好きだった故人にお花を……と、式場に花束を届けに行きました。その時、私の目にとびこんだのは、棺の上に置かれた赤いバラでした。

 「うさぎのバラ」が、この冬、かつてない見事な大輪の花をつけたこと、そしてその花が、親しくさせていただいた方の旅立ちに添えられたことが、私に言いようのない不思議な感情をひきおこしたのでした。

 年を重ねると、親しい人と別れることが多くなってきます。「人は、出会うべくして出会う」という、誰かから聴いたことばを半ば信じている私は、別れに出会うたびに、その方との出会いを大切にしてこなかった自分に思い至ります。悔いの何と多いことでしょう。

 そして、「死んでやる!」「いない方が良いんだ。」などと口走る子どもたちの心の寂しさや満たされない虚しさをどうしていけばいいのか、思い悩む日々が続きます。この世に生きる者すべてに、確実に訪れる死。しかし、生きていて良かったな、自分の人生は自分なりに納得のいくものだったなと思えるような生を生きたいし、子どもたちにも生きてほしいと思うのです。そのために、私は何ができるのでしょうか……。

 隣家に灯がともることはありません。今年の冬はことさらに寒さが身にしむことでしょう。
2016.11.14 発行

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