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□ひまわりからのメッセージ

心をひとつに

 夏休みがすぎ、いつの間にか秋の気配が……と思っていたら、庭では虫の音が日毎ににぎやかになり、田の畔には彼岸花が咲き始めました。季節はめぐっていくのに、ふと自分の日常をふり返ると、余裕のない日々であることに思い至ります。

 そんな生活の中で松本までオーケストラを聴きに出かけました。今年は小澤征爾さんが指揮をする日のチケットが取れたのです。

 八十歳を昨年迎えた小澤さんは、指揮台と指揮台の傍と二脚の椅子を用意され、一楽章が終わるごとに座って休息をとられました。指揮の途中でも椅子に座ってタクトを振ることもあり、体力の衰えに客席から祈るような思いで見つめていたのは、私一人ではなかったことでしょう。若い頃のエネルギッシュな指揮を思い出しながら、しかし、全身全霊でつむぎ出される音楽は、深く豊かに心を満たしてくれました。絵画とは違って音楽は私の記憶の中に長くとどまってはくれませんが、おそらくは私の感性が鈍ってきている証拠なのでしょう。けれども八十一歳の小澤さんに、まだまだあなたも頑張りなさいよと背中を押された気がしました。

 今、テレビ番組で「仰げば尊し」というドラマを放映しています。実話のドラマ化なのだそうですが、荒れている高校に赴任した一人の音楽教師が、吹奏楽部を育てていく話です。かつては、金八先生が一世を風靡しましたし、金八先生に憧れて教師になったという人もいました。

 生徒の心を惹きつける教師という職業は素敵だなあと思うのですが誰もが生徒と心を通わせることができるとは限りません。音楽を通して心を一つにしていくというドラマのような展開は現実にはまれなことでしょう。でも、生徒を信じること、生徒のこころに寄り添うことは、最も基本的な人と人との関係であろうと思います。

 出会った瞬間に子どもたちの心の眼で見透かされてしまう私たちの人間性は、常に自分自身の内省によって保たれていくのではないか…と思ったりします。欠点だらけの人間なのだから、子どもたちと同じ目の高さで見ることができたらいいなあと考えるのです。
2016.9.12 発行

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