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□ひまわりからのメッセージ

風の電話 亡き人へ心の声を…

 東日本大震災から五年目となる日の前日、NHKで「風の電話」のことを放映していました。

 大槌町の高台に建っている電話ボックス。その中には黒いダイヤル式の電話が一台置かれています。電話ボックスの周りには風が生まれ、その風に托して、大切な人を亡くした人たちが、語りかけておられました。ある方は遺体さえ見つからないお父さんに、またある方は奥さんとお子さんに、またある方は、無くなってしまった自宅のダイヤルを回してじっと無言で佇んでおられました。

 五年という歳月は、流れてもあの日が還ってくることはありません。被災された人たちの以前の生活が戻ってくることもありません。ご主人を亡くされ、三人のお子さんを育てている方が一家で風の電話を訪ねておられました。「死のうかと思った日もありましたが、主人が残してくれた三人の子を立派に育てなければと思って…。」とおっしゃっていましたが、三人のお子さんたちも各々に震災後はじめてお父さんのことを口にされたということでした。

 風の電話には、悲しみをこらえて生きている人たちの心の声を引き出してくれる力があるのでしょう。

 風の電話。誰が名づけたのでしょうか。人に言えない心の内を聴いてくれる電話。その電話でどれ程の人が救われたことでしょうか……。

 人は、二度死ぬのだと聞いたことがあります。「亡くなった人を思い出してくれる人がいなくなった時が二度目の死である。」…と。この職についてから亡くした多くの子ども達。今年も新しい手帳に、亡くなった子どもたちの命日を書き写しました。電話はないけれど、心の中で呼びかけながら……。
2016.3.14 発行

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