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□ひまわりからのメッセージ

玄鳥の巣

 先日、墨俣小学校へ訪問した折に、目の前を、さっと燕が横切っていき、驚かされました。顔を上げると、つばめの巣が玄関の外灯の上にあって、ひなたちが一斉に啼きはじめました。親つばめは餌を求めて飛び立ったのでしょう。ひなたちは、これ以上伸びないと思える程に首を伸ばし、大きく口を開けて啼き続けます。その姿が何ともかわいく、しばらく見とれてしまいました。そして

 のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にいて
   足乳根の母は死にたもうなり

という斎藤茂吉の短歌を思い出し、小さな燕のひなの命と死にゆく母の命を一首に詠みこんだ茂吉の心情を今更ながらに思いました。

 そういえば、私の幼い頃には、どの家にも燕が巣作りをしていたものでしたが、今はそういう家は殆どなくなってしまいました。学校でも鳥小屋があって、文鳥やセキセイインコがたくさんいましたし、うさぎ小屋もありました。子どもたちの周りから、だんだん生き物が少なくなって、触れる機会が減っていることに気づかされるこの頃です。

 ゲームの世界の中では、一度死んだ命も魔法のように甦ってきますから、子どもたちの実体験の乏しさともあいまって、最近の命の軽視が進んでいるように私には思えるのです。いじめも虐待もおそらくは根っこのところでつながっているのでしょう。

 墨俣小学校の子どもたちは、燕のひなが巣立つ日を心待ちにして、巣を見上げているのだと校長先生に伺いました。「一度巣立っていって今度は二度目なんですよ。」とおっしゃる先生方も、日々巣を見上げていらっしゃるのでしょう。小さな命を見守っていくことで、子どもたちは大きな心の財産を作り上げていくのでしょうね。
2015.7.13 発行

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