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□ひまわりからのメッセージ

週末の椅子

 「あなたのお子さんは、二年前のあの時、死んでいても不思議はなかったのです。助かったのは神様のおかげで、奇跡だったのです。」何十万人に一人という難病の子をもつ娘に、医師は「今は元気に見えますが、両親が思っている程、楽観は許されないのですよ。」と繰り返し諭されたそうです。

 その医師のことばを私に報告した後で「おなかにいる時私はどうすれば良かったのかなあ…。」ぽつりと娘がそう言いました。

「私のせいでしょうか…。」「健康に産んでやらなかった私が悪いのでしょうか…。」「私の育て方のせいですか…。」何度も何度もお母さん方から聞いたことばの重みを、私は改めてかみしめていました。母なればこその思いです。

 けれども病気や障がいを知った時の思いは、育てていく中で少しずつ変化していきます。

「家で暴言や暴力で困っています。」とか「学校から毎日、トラブルのことやわがままで好きなことしかやらないと言われてつらいんです。」とか言われるお母さんが、「中野先生から、子どもに診断名を言ってやって下さい!」と訴えられることもあり、「そんなことは、あるはずがないのに、娘がウェディングドレスを着ている夢を見たんです。」とか、「息子が会社で働いているんです、夢の中で…。」と言われた方もありました。

 自分の子のことを受け容れていないのではないのです。けれど…と揺れるお母さん方の思いに、私は本当に向き合ってきたのだろうか…と思ったのです。

 わが家の庭。樹々が生い茂り、踏み場のない程の雑草に覆われた庭を、廊下の椅子に座ってながめながら、過ぎてきた日々を思い、これからの私にできることは何なのかと思いに耽った週末でした。
2015.6.15 発行

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